認知症の周辺症状「帰宅願望」への対応

帰宅願望とは

認知症の人は、夕方になると「家に帰りたい」と言ったり、施設や家から出て行ってしまったりすることがあります。
これは、帰宅願望という認知症の症状です。
認知症の症状には「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」があり、帰宅願望は「周辺症状」にあたります。
帰宅願望の原因は、認知症の中核症状である「見当識障害」や「記憶障害」からくるものです。
今、自分がどこにいるのか分からない、子供のために夕飯を作らなければ、など、自分が置かれている状況が理解できずに起きてしまいます。
また、慣れないデイサービスやショートステイ、介護施設にいることに不安を感じるためです。
「ここはどこ?」「あなたは誰?」と分からないことが不安につながることが主な原因になります。
自宅にいても、部屋の模様替えなどで雰囲気が変わると、帰宅願望の症状がでることがあります。
さらに、失禁などで家族に怒られた際にも、帰宅願望を訴えることがあるでしょう。
認知症の周辺症状「帰宅願望」に対応するためには、ポイントがあります。

帰宅願望への対応の仕方

帰宅願望といっても本人にとっては至って当たり前の行動です。
理由があって家に帰りたくなります。
しかし、周りの人にとって対応が大変なことで、問題視されてきました。
帰宅願望への対応の仕方でのポイントとは、「意識を逸らす、他に向ける」ことです。
好きなことや、何かに夢中になっていると帰宅願望の症状はでません。
そのため、集中できること、特に女性の場合は洗濯物を畳んでもらうなど、できる範囲で家事を頼むと良いでしょう。
また、否定しないこともポイントになります。
今いる場所が自宅だと分からない認知症の人に、「ここが家です」「家には帰れません」というのは逆効果です。
さらに不安が増してしまい、帰宅願望が強くなり、暴言や、暴食につながってしまいます。
家から出て行ってしまった場合は、一緒にお散歩をして気持ちを落ち着けることや、「泊まっていって」「ご飯食べていって」などと声をかけ、気を逸らしましょう。
ここに居て良い、ここに居てほしいということを伝え安心してもらいます。
帰宅願望の症状は夕方に現れるケースがよくあります。
そのため、夕方に一人きりにならないように、こまめに話しかけてあげることも大切です。
しっかりと存在を確認しながら接することが大切です。
家族が他の作業に行っていても、積極的に声をかけましょう。
会話にならず、独り言のようになってしまっても、名前を呼び、話しかけるだけでも効果があります。
「安心感」が帰宅願望の症状を軽減することにもなります。
また、空腹になると苛立ちを感じ、症状が出る場合がありますので、小腹を満たすこともポイントです。
以前、帰宅願望は「問題行動」として認識されていましたが、何故、家に帰りたいのかを考えることで、その何故を解決してあげることでも帰宅願望はなくなります。
そのように普段から本人をじっくりと観察することで、他の認知症症状の軽減する方法が見つかるものです。